Michigan Journal 2023
2023年08月13日
〜学力テスト「英語話す力」正答率12.4%の衝撃!〜
先日、文部科学省から4月に行われた全国の小学校6年生そして中学3年生を対象に行われた「学力テスト」の結果が発表されました。目を引いたのは中学生の英語のスピーキングの結果です。なんと全国平均正答率12%。その他、読む、書く、聞くの技能が軒並み40〜50%前後の中、「話す」技能が著しい低い結果です。
普段、英語に触れられていない方にはピンとこないかと思いますが、この正答率はあまりに低すぎます。と同時に私個人としては「やっぱりね。」と頷くところです。今、実際に小中学生に触れていて感じることは英語の話す力の低さです。私の英語レッスンでは、ほぼ全部の授業で軽い英会話から始めます。塾生に関しては習慣で話させているので、ある程度は話しますが、これがスクール外の例えばボランティア授業なると「How was school today?(今日は学校はどうでしたか?)」レベルの質問もポカンとするか、返答が遅く、なんとか単語の一つを口にするのが精一杯の生徒さんがほとんどです。理由は簡単。普段、「あまりに英語で話してないから」です。
だからと言って現場の英語の先生に苦言を呈すつもりも全くありません。今の3年前から導入の教科書・改訂版「NEW HORIZON」が難しいからです。中1のユニット1から旧・教科書の何倍もの文法、語彙が登場します。現場の先生は「一通りこなすので精一杯」でしょう。こんな状態で話す力のトレーニングにまともに時間が費やせるとは思いません。今の公立の英語授業は最初からこのような英語の話す力を期待できない構造になっています。私からすると中学校英語も「読解英語」と「コミュニケーション英語」の2分割にでもしない限り、根本的な問題は解決しないでしょう。
あとは学校に配置しているネイティブスピーカーの英語補助教員ALT(地域によってはAET)の使い方。これもせっかく自治体の予算で雇っているのに現実は日本人英語講師の横について発音の指導か、単なる英語ゲームの「アシスタント要員」になっているのが実態です。この辺りも彼らの母国語なので、それを母国語とした彼らにある程度授業をさせるのが本来筋です。私も大学と仕事とアメリカに長くいましたが、アメリカの公立の学校(小中高および大学問わず)で日本語の授業を日本語を母国語としないアメリカ人講師がほとんどの時間を英語で日本語を(他の言語も然り)教える授業など聞いたことも見たこともありません。
このように今回のショッキングな学力テストのスピーキングの結果は全国的に根本的な改善が行われない限り、毎年、同じ結果をもたらすと思います。今、こうやって書いている講師の私でさえ英語をネイティブと話す機会がなく、旅費を払っても東京の「英会話カフェ」に定期的に通って鍛えているほどです。いっぺんに大きな変化は難しいと思いますが、生徒に出来るだけ話す、聞く機会を与えることを意識していくべきでしょう。