Michigan Journal 2022
2022年07月31日
〜リスニング向上は焦らないbut習慣に〜
今年度の一学期が終わり夏休みを迎えホッとしている生徒さんも多いかと思います。当スクールも夏の特別セミナーも含めた夏スケジュールに入ります。最近、中学生や高校生の英語テスト対策を指導していて著しく力不足を感じる分野の東西横綱は「英作文」と「リスニング」です。作文については次回お話しするとして、今回はリスニングについて。地元の中学校〜高等学校の授業の様子を生徒さんからよく聞きますが、どこ一つとしてリスニングの指導を細かくやっている学校はないようです。高校3年になると一部の学校で共通テスト対策として行っている授業もあるようですが、いずれもCDプレイヤーかけっ放して、終わる頃、先生が戻ってきて答え合わせをするというスタイル。こんな感じですので「やってない」に等しいのです。普段やってないのに高得点を取れる方が、逆に不思議なのですが、模試にも定期テストにも英検にもリスニング問題はしっかり出題され逃げ道がありません。
以前、ニュースレターに書いた事がありますが、「リスニング力」の向上には「多く聴く」(多聴)と「じっくり聴く」(精聴)を上手くセットで練習していく必要があります。そのために前回、自分の好きなジャンル(映画、音楽、スポーツ中継、トークショーなど)をDVDで英語のまま見る事をオススメしましたが、これも余程の根性のある人でない限り「三日坊主」になりがち。では、どうするか?多少、「つまらない」と感じても教科書や副教材の付録CDを音楽代わりに聞き流す事から始めましょう。出来たら、一緒に口ずさんでみましょう。より効果的です。もっとも今の教材はCDを使用する前にQRコードでスマホでその場で聞けますよね(ただ、アクセスが便利すぎる機器はこれまた「いつでも出来るさ」病となり三日坊主の原因にもなります。要注意)。自分の使っている教材は内容も文法レベルも慣れているものですから、未知の教材を使うより耳が文章として馴染みがあり認識しているのでキャッチし易さが違うはずで「ああ聞き取れている」という感覚も大きいかと思います。
いずれにしても、リスニング力の向上は焦らないこと。そして、1日10分以内でも聴く習慣を止めないこと。減量のためのダイエットと同じで、やめたらそこで終わりで、また2〜3日ですぐ効果が出るものでもありません。しかし、ある時「あれ!?気付いたら私、聞き取れている!」と実感するものです。ある程度、自信がついたところで自分の好きなDVDなどにトライしてみましょう。これで楽しくなればしめたものです。少し、脱線しますが、私は初めて渡米して通い始めたテキサス州の小さな村の英語学校時代、ゆっくり話しているはずの現地のネイティブのアメリカ人の先生の英語でさえわからず、寮の部屋に掃除に来るハウスキーパーの婦人ともコミュニケーションが取れず「日本で学んだ受験英語ってなんだったのだ!」と大変ショックを受けたことがあります。ここの学校の欠点は日本人留学生が多すぎること。週末というと同じ仲間で集まり日本語でカレーパーティーなどして盛り上がっているような環境。これでは上達するはずがありません。テキサスの地を見限った私はイリノイ大学付属英語学校に転校する決意をしました。そして、イリノイ州に移って最初の2週間、イタリア人と部屋をシェア。日本人の知り合いもゼロ。とにかく英語を使うしかない状況に追い込まれました。そしたら、ある時期から耳が英語慣れしてくるにを感んじました。これは、英語漬けの状態で必死で聞いて話そうとしていると、突然、来ます。どちらにしても高度なリスニング力を目指す人には楽な道はないと思います。