Michigan Journal vol.51<2018>
2018年10月24日
「東京の人気英会話カフェ3軒を巡ってきました!」
~英語学習は車の運転と同じ~
よく英語学習、特に、英会話の修得といわれるものは「外国人講師に習った方がいい」「いや、日本人講師に習った方がいい」と様々な意見を聞きます。日本での受験英語、そして8年にわたるアメリカでの実践英語のどちらも経験した私の長年の感覚からいうと、「どちらとも言えない。その時点での英語力による。」というのが答えです。自動車の運転免許を取得する過程を考えていただくとよろしいかと思います。日本のドライビングスクールでは教室においては交通のルールや車の性質を学ぶ学科教習とスクール内のルートで運転の実践を学ぶ路上教習の2つがあります。この2つのどちらが欠けても、実際の道路で車の運転するには問題が起きます。「交通ルールはいいから早く路上に出て運転すれば感覚が身につく」といって運転をしたことのない人が勝手に運転し始めたら、そこらじゅう大事故だらけで大変なことになります。一方で交通ルールや車の性能を熟知していても、道路で運転を一切せずにいたら、運転から身につくスピード感や車幅感覚は学習できず、こういったいわゆる「ペーパードライバー」がある日突然路上で運転すればこれまた事故を起こしてしまうでしょう。
英会話の修得というのは、この自動車運転免許を所得のプロセスによく似ています。文法や単語を学習することを嫌がる人が多いですが、それらを無視して「早いうちから外国人と触れていれば英語なんて自然に身につく」と外国人と話そうとしてもボディジェスチャーと単語だけで伝えるような原始的なコミュニケーションになることは明らかです。一方で文法や単語はマニアのように熟知しても全く聞いたり話したりをしないと、これまた英語は話せません。私の知り合いにも有名私立大学の英文科卒の方で英会話がほとんど出来ない人を沢山知っています。これは英語の「ペーパードライバー」状態になっているということです。
私が冒頭で英会話修得で英語ネイティブ(英語を母国語にする外国人)に習うか日本人に習うかという質問に「どちらとも言えない」と言ったのは、この理由です。英語の初級の段階は文法や英文解釈をきちんとわかるように説明してくれる日本人の講師に(日本人でなくてもいいのですが)習い、ある程度したら、ネイティヴの人と聞いたり話しながら身につけていくというのが英会話修得の最善の策かと思います。
今回、東京に出張に行った際、「英会話カフェ」という中でも人気ベスト5に入るといわれるカフェに3箇所行ってきました。どこも一時間につき¥1000ほど払ってテーブルに座って、一人の外国人スタッフと複数の日本人ビジターとでコーヒーなどを飲みながら雑談をするというシステムです。結論からいうととても楽しかったです。参加されている方の職業も英会話力はそれぞれですが、皆さん、楽しそうにおしゃべりしていました。私もあまりに楽しく時間を忘れてかなり長居しました。これぞ路上に出て「運転の感覚」を身につける過程に似ています。今回、私が座ったテーブルも「好きな食べ物」のことから、最後は日米の医療サービスの違いまで多岐にわたるトピックをざっくばらんに英語で話しました。話しているとボキャブラリー(語彙)の観点からも自分の強い分野と苦手な分野がわかったり勉強になりました。同時にこんな空間が探せばそこらじゅうにあって気軽に入れるという東京という地は本当に恵まれていると感じました。世の中、「英会話をマスターしたい」と頑張っている方は多いと思いますが、「文法や単語」の学習英語と「とにかく聞く・話す」という実践英語の2つの柱を常にバランス良く進めていくのが大事かと思います。そして、何事もそうですが、「楽しい」と感じるモチベーションこそ最高の上達のカギです。